2019年12月6日金曜日

2019.12.6 第29回外国語教育セミナー 外国語教員ピアレビュー&阪大岩居先生ご講演

神戸大学大学教育推進機構国際コミュニケーションセンター 第29回外国語教育セミナー


日時 2019年12月6日(金) 0850~1120(予定)
会場 神戸大学鶴甲第1キャンパス(国際文化学部キャンパス)D615教室

第1部 センター教員ピアレビュー(0850~0950)
報告者 
独語:安田麗 講師 「ドイツ語の授業実践」
英語:濱田真由 助教 「英語の授業実践」
英語:石川慎一郎 教授 「4つの理念を融合した大学英語教育の設計」

※ビデオカンファレンス方式を採用しています。各教員が自分自身の授業風景をビデオに撮影し,その一部を上演しながら,それぞれの授業の工夫などについて報告します(質疑・入れ替え込み1名20分程度)。

第2部 講演会(1000~1110)
講師: 大阪大学サイバーメディアセンター教授 岩居弘樹先生
演題: ICTを活用した能動的外国語学習
概要: 音声認識アプリやビデオ撮影・共有のための教育用SNSであるFlipgrid,授業支援サービスとして導入しているロイロノートスクールなど,学生所有のスマートフォンやタブレット端末を活用した能動的な外国語学習の実践事例をご紹介します。

講師ご紹介
大阪大学サイバーメディアセンター教授。携帯端末・タブレット端末やWebサービスを活用したドイツ語学習の実践研究のほか,看護系大学での「複言語学習のすすめ」,大阪大学と小学校の教室を結んだ「世界のことばプロジェクト」などを実施。「外国語の学び方を学ぶ」ことを目標にした能動的な外国語授業を展開している。Apple Distinguished Educator 2013 。



岩居先生紹介サイト(文責:企画者)
岩居先生は先進的な外国語授業の実践で全国的に知られ,多くのメディアにも登場しておられます。下記はその一例です。当日は神戸大でぜひ岩居先生の《ライブでのご講演》をお楽しみください。

◎Macfanでの紹介記事
「相手の心に届く言葉を育む“学び方を学ぶ”語学の授業」
https://book.mynavi.jp/macfan/detail_summary/id=99667

◎iTeachers TV
前編 https://www.youtube.com/watch?v=w2KLYqZz618
後編 https://www.youtube.com/watch?v=zqnKURMC4nc

◎iTeachers conference 2016でのご講演
https://www.youtube.com/watch?v=AKBIUkVR9l8


※本セミナーは例年通り,外部にも公開しております。

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終了報告(2019/12/6) 文責:石川

参加者:20名(神戸大教員・神戸大院生・同志社大教員・親和女子高校教員他)


第1部 ピアレビュー
安田講師は,文法と語彙の学習,会話練習,プロジェクトの3つのモジュールで構成される授業実践について話されました。アイランドデスクに学生がグループで座ってゲームをしながらドイツ語を使うなど,学生の活発な参加を促す工夫が多く見られました。


濱田助教は,日本の問題を扱ったニュース番組からとった教科書を作り,身近な問題を通して学生の発信力を総合的に高める授業の取り組みを発表されました。学生を立たせて話させる等,発話を引き出す工夫も随所に見られました。



石川教授は,ELF/CLIL/DAL/CLという4つの理念をもとに英語授業を設計する必要性を述べ,また,90分間の授業を7つのモジュールに分割する実践について報告しました。(※発表者=記録者のため,写真がありません。すみません。)

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第2部 岩居教授講演

Flipgrid(教育用ビデオ共有SNS),Kahoot(ビデオと連携したアンケート),plickers(紙を使用したクリッカーシステム),otter(英語の自動書き起こし)等を活用した授業実践についてご講演をいただきました。教授の授業実践では,学生が圧倒的に多くの発話量を確保し,楽しんで外国語の学習に取り組んでいる姿が印象的でした。とくに初めてドイツ語を学んだ学生がわずか数週間後に立派なドイツ語でのスキットを演じている姿には大きな感銘を受けました。また,看護大学や小学校などで,複数言語(看護大学ではドイツ語・インドネシア語・韓国語,小学校では8言語)のあいさつを同時に学び,言えるようにさせる実践の成果は驚異的で,聞くものに大きな衝撃を与えました。全体を通して,機器を有効活用しながらも,機器に頼りすぎるのではなく機器をうまく使って学習者の言語使用を引き出し,教育理念の実現をはかっておられることが印象的でした。

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アンケート結果(提出11枚)

1 ピアレビューについて (参考になった:9 ふつう:1  未回答:1)
コメント(※趣旨を変えない範囲で表現を修正しています)
・他の先生がたの授業を見る機会がないので参考になった
・英語の発表だったが聞きやすく「ELFの発音テクニック」というのがあることを学んだ
・プレゼンはタブレットを使って行おうと感じた
・ふだん学生のプレゼンしか見る機会がないので勉強になった(院生コメント)
・応用言語学を本で勉強してきたが実際の授業実践を見られて勉強になった(研究生)
・高校と比べると基礎ができているので思い切ったことができる点はうらやましく感じた(高校教員)
・critical thinkingは高校段階でも大事であり考えさせる授業をこころがけたい(同上)
・今後のこの会の持ち方についてテーマを決めて(プロジェクト学習etc)掘り下げるのもよいかもしれない
・ドイツ語の物語作りは面白そうだった
・英語のフリートークはやってみたいと思ったが評価はどうしているのだるうか? (※石川回答:語数をパートナーが数えて語数=スコアにしています。1分間に70語だと7点,65語だと6.5点)
・ドイツ語の授業で辞書活用をされていたのは勉強になった。グループ学習のやり方もまねしてみたいものだった
・教室の後ろまで声が届いていなかった発表もあった

2.講演会について(参考になった:8 ある程度参考になった:2 未回答:1)
コメント(※同上)
・Flipgridやotterを使ってみたいと感じた
・アプリ紹介はありがたい。大学ですべきことなのかという疑問をあったが積極的に活動している学生の姿に感銘を受けた
・フリップグリッドを使ってみようと思った
・有意義な時間でした
・大学院でICT活用を勉強しているがさまざまなアプリについて知ることができよかった(院生)
・実践的ですぐ使えるアプリを紹介していただき有益だった。実践してみたい
・大学で海外連携の仕事をしているがパートナー大学を増やすためにlanguage exchangeも取り入れようと考えていたので有益だった
・感銘を受けた
・学生たちが楽しそうにドイツ語を話している姿が印象的だった。演技も最高だった。
・多文化社会という重要な概念を体験できる授業は素晴らしい
・複言語の授業というのがおもしろかった
・様々なICTツールの活用法があることを学ぶことができました。90分の授業の中の一部(例えば導入部)で用いることで授業の活性化につながるように思いました。ただ大学における外国語教育は学習者の深い思考を導くものであるべきで,「楽しい」「心のオアシス」だけで終わってはならないと自分自身は考えます。